論文掲載のお知らせ(Scientific Reports)
Deep Learning(深層学習)により形成される人工知能(AI)は、近年様々な医療分野、とりわけ画像認識を必要とする放射線診断や病理診断において有用であることが広く認知されてきています。
私たちは2020年1月に、胃・大腸の上皮性腫瘍を検出するAIの確立を発表し、この内容についての論文が、 “Scientific Reportsより出版されました。(Scientific Reports 2020, volume 10, Article number: 1504)
この度2020年6月9日、国立病院機構九州医療センターの先生方ならびにメドメイン株式会社のメンバーの共著による原著論文が再びScientific Reportsに掲載されました。
今回の論文のテーマは「Deep Learningを用いた、弱教師あり学習による肺癌識別」です。
肺癌は、わが国のみならず世界中において、がんによる死亡の主要な原因のひとつです。
肺癌と断定するには、肺から組織を採取し、顕微鏡で癌を確認することが必要であり、これを「病理組織学的検査」といいますが、この検査によって肺癌と診断することが最適な治療戦略を決定するうえで必要不可欠です。
私たちは今回、病理組織上で極めて高い精度で肺癌を検出するAIを確立し、世界最大規模のテスト症例を用いて、その精度について検証することに成功しました。
弱教師あり学習により、3000症例を超える肺の病理組織標本から抽出した病変画像情報を深層学習させ、計4か所の国内病院施設および国際公的データベースから得られたテスト症例により、肺癌組織の検出を検証し、私たちの確立したAIが高精度であることが裏付けられました。
(ROC-AUC: 0.975, 0.974, 0.988, 0.981)
Medmainは引き続き、一層高まるAIによる病理画像解析への期待に応えていけるよう、さらなる努力を重ねていきます。
タイトル原文:Weakly-supervised learning for lung carcinoma classification using deep learning
Fahdi Kanavati, Gouji Toyokawa, Seiya Momosaki, Michael Rambeau, Yuka Kozuma, Fumihiro Shoji, Koji Yamazaki, Sadanori Takeo, Osamu Iizuka, and Masayuki Tsuneki
タイトル和訳:「Deep Learningを用いた、弱教師あり学習による肺癌識別」
https://www.nature.com/articles/s41598-020-66333-x
【著者】
- 国立病院機構九州医療センター
呼吸器外科:竹尾 貞徳副院長、山﨑 宏司科長、庄司 文裕医長、豊川 剛二医師、
上妻 由佳医師
臨床検査部:桃崎 征也病理部長
- メドメイン株式会社
飯塚 統、Fahdi Kanavati、Michael Rambeau、常木 雅之
PubMed Link https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32518413
Scientific Reports https://www.nature.com/srep/
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