病理のおはなし vol.2


みなさま、こんにちは!

メドメインで、採用や広報の仕事をしている梶尾です。

当ブログ “Medmain Speaks” では、メドメインで働くメンバーへのインタビューなどのコンテンツをお届けしておりますが、私たちのサービスに最も関わる分野「病理」に関するあれこれも、シリーズで綴っています。

医療の根幹となる重要な役割を果たす「病理」について、より多くの方々にその重要性について理解を深めていただくきっかけとなれば嬉しいです!!

2回目の今日は、「病理診断で使うプレパラートって、どう作られる?」です。

病理医は顕微鏡で体から採取した細胞などを観察しますが、ご存じのとおり顕微鏡は下から光をあてて上からのぞく、というものなので、当然半透明のものしか観察することができません。検体に厚みがあると、光が遮られて、影絵のようになってしまい、細胞の中身などは全く見えなくなってしまいます。

そのため、採取した臓器を、「半透明」にする必要があります。どうやって半透明にするのかというと・・・

「観察したい箇所を、ごく薄―――い膜にする」のです。

臓器からこのきわめて薄い膜を切り取るために、↓ のようなミクロトームと呼ばれる薄切装置を使い、臓器の表面の部分から、まるでカンナでかつお節を削るように、薄い膜のようなものを採取します。その薄さは、「厚さ3 μm~5 μm」という単位の、非常に薄い膜となります。

ただ、このきわめて薄い膜に、実際に観察したい個所が含まれていなければ意味がありません。。

臓器のかたまりをとっても、その内部に観察したいものがあるときに、その個所までたどりつくまで表面からカンナを3 μmずつひたすら削る作業をしても、永遠に終わりませんよね・・・

そこで大事な工程がこの薄切作業の前に行われる、「切り出し」と言われるものです。

薄切装置を使う前に、ホルマリンによって適度な硬さになった検体(マクロ検体と呼ばれる)から、ナイフで ↓ のようにあらかじめ5 mmくらい臓器を切っておきます。

病変を肉眼で観察し、顕微鏡でみたい個所を決めたら、その必要な病変部分だけをまずは「切り出し」ます。もちろんその際には十分な肉眼観察が行われ、写真撮影やどこから切り取った部分なのか、といったところまで正確に記録されます。

これは病理組織検査におけるきわめて重要な過程であり、病理医と検査技師との共同作業で行われます。この「切り出し」の工程、プレパラートを作る一連の技術の中でも熟練の技術を要するといわれているそう

その後、切り出された病変はパラフィンという蝋で固められ、先ほどの薄切作業の工程で薄い膜となり、50℃程度の熱でスライドグラスにピタリと貼り付けられます。↓

顕微鏡で観察する際に判断し易くなるよう、通常は自働染色装置もしくは手作業で「ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)」という方法でピンクや紫に染められます。↓

このようにしてできたプレパラートは、病理医に提出されます。

(ちなみに病理医の方々が顕微鏡でみている世界はこんな感じです)

【病理標本ができるまでの手順まとめ】

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